「グラデーション」(永井するみ著、光文社文庫)を、読了。
ある14歳の女の子が23歳になるまでの間、友達とのつながり・好きになった人への気持ちとその人との間の出来事などを通じて成長していくことを書いた、お話です。
進路にまよったり、自分の立ち位置を測りながら、周りの人が自分を評価して困惑したり。最後には自分がどうなりたいのか、どんな職につくべきなのか悩みながらも、中学・高校と同級生だった男性と、このあともしかしたらうまくいくんじゃないかな、と読者に思わせて、お話は終ります。
私は最後のほうにでてくる、主人公がバイトで講師をしている絵画教室の生徒、ミツルくんの話が強く印象にのこりました。模造紙に5人ほど書いてから真っ黒にぬりつぶしている状況をみて、ヒステリックに主人公を非難するミツルくんの母親と、状況に困惑する主人公。「そんな母親いるよなあ」とか思いながらその母親に半分批判的な気持ちで読み進めると、前述した同級生だった男性がその話を主人公から聞いたとき「母親のことを責めているように聞こえるのがひどい」「母親はミツルくんが心配だからこそ、なんとかしたくて教室に通わせているはず」とヒントをくれる。私もはっと、しました。結果はネタばらしになるので書きませんが。
私自身、保育園時代にお絵かきの時間は「紫の絵の具」で画用紙を塗りつぶしていました。紫って色が当時好きだったから、という自分では単純な理由でしたが、私の母親の場合は何かしら不安な気持ちはあったにせよ、それを頭ごなしで「だめだ」とかいうことは決してなかったです。私の場合はそれでよかったなと思います。
(ちなみに、母親はいろいろ裏で相談をしていたようです。父親が遠洋漁業で殆どあえなかったことで寂しさから、紫色で塗るのでしょう、ととある人に言われた、と以前聞いたことがありますね)
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